名古屋メシの一つにカレーうどんがある。
私が20年ほど前に愛知県に初めて足を踏み入れたとき、「カレーうどん」の幟がやたら多い街だなって印象を持った。
だいたいカレーうどんなんてもんはカレー風味の餡かけうどんって感じで、寒い日の出前で食うものってイメージがあり、夏場にカレーうどんを食べる奴なんざいるのか!?って暑い名古屋の街をふらついたものである。
っが、名古屋のカレーうどんってのが結構な代物で、旨いんである。肝心のスープは、夏場でも飲んだ〆にも非常によろしいビシッとしたスパイスが利いており、鶏がらの旨みに魚節の旨みまで入っている、まさにサービス過剰の名古屋を体現したようなスープ!?ルーであり、さらに讃岐うどん全盛期の昨今では考えられない太く柔めの麺はしっかりとそのスープを纏い、香りに、物理的に鼻腔をくすぐり、官能的な旨さを実感させる。
具に定義はなさそうだが、かまぼこと油揚げが入っている店が多い。この油揚げがまたカレースープによく合うのである。
そんな名古屋カレーうどんの発祥は若鯱家(現本店鯱乃家)。平成の初期名古屋で大ブレークしたらしい。
もともと名古屋の麺類文化は広大で深淵である。麺と一言に言っても、うどん、そば、中華そば、きしめんに味噌煮込み(味噌煮込みのうどんは塩分が入っていない特殊な麺である。)と選択肢がある。つゆは醤油2種類、味噌2種類。出汁もきしめんにはこれってものがある。そこにカレーが加わり、新たな名物店、繁盛店が生まれ、名古屋の麺類食堂は栄枯盛衰を繰り返しさらに深いものになっていく。
名古屋の麺類食堂にはストーリーがあるお店が少なくなく、若鯱家に関してもいろいろありまして…。
名古屋麺類食堂は広大で深淵なのである。
そんな訳でやってきました、鯱乃家さん。看板には若鯱家の文字が切なく感じてしまう私です。
令和の今ではこちらの若鯱家ではないとの拘りですな…。
年季を感じる関西風の暖簾にはカレーうどん鯱乃家の文字。
メニューは木札のみ。
カレーうどんがトップに来ますが、他にも気になるメニューがぞろぞろしておりますな。
ちになみに「中華ころ」の「ころ」ってのは冷やしかヌルイってことですね。
ハの字のカウンターの厨房側に着席しまして、注文するのはもちろんカレーうどん。
お店側もほぼ予想通りと準備万端で、待つこともなく提供されます。
これが名古屋カレーうどんの原点と言ってもいい鯱乃家さんのカレーうどんだ!
具はかまぼこ、長葱、油揚げ。
アタクシは、名古屋で初めて食べた時に違和感を感じたんですが、カレーうどんに油揚げって当たり前なんですかね!?食べればメチャクチャ合うのが分かるんですが、最初は違和感がありましたね。
名古屋のカレーうどんは太くて柔め。
あれっ!?こんなに太かったかな!?っと思ったうどんを一箸つまみあげ口に放り込む。
カレー汁を纏った太めで柔めのうどんを口いっぱいに入れると、やっぱカレーうどんって旨いなぁ~っとしみじみ感じる。
麺をあらかた啜ったところでライスの小を追加。
沢庵を二切れつけてくれるサービスが嬉しい!やっぱりメシには香の物が無きゃいけません。
っとなれば、オンザジャスティスではなく、丼にドボンと入れて禁断のワンプレート。
人間ドックの結果も芳しくなかったというのに…。
最後の一滴まで汁を味わうにはこれしかない訳ですよ!
日本国民を驚愕させた混ぜそばの追い飯は名古屋の麺類食堂にとっては、そう不思議なことではなかったんですよね。
満腹満足でご馳走様でした。
次回訪問時には冷やしたぬきをお願いしようと思った次第であります。
でもきっと麺はうどんだよなぁ~!?私が愛して止まないのは、冷やしたぬき”そば”なんだよなぁ~。やはり東海県内で冷やしたぬきそばを食べるのは難しいのかしらん!?
営業日、営業時間は次になります。
名古屋麺類食堂の生末を見守りつつ、自分の居場所を確保していかなきゃいなぁ~、っと思う次第であります。
本店 鯱乃家
愛知県名古屋市北区田幡2-14-1
052-915-8156
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