柳橋中央市場は、名古屋駅から徒歩5分。名古屋市中村区名駅にある、100年以上の歴史を持つ民間の食品卸売市場です。
ルーツは1886年(明治19年)、禰宜町通の明治橋あたりに置かれた青物市場。1896年(明治29年)に西柳町へ移り、1910年(明治43年)に奥田正香・山田才吉ら名古屋財界の実業家9人が発起人となって中央市場株式会社が発足し、同年6月から営業を始めました。築地のような公設市場ではなく、自然発生的に集まった問屋をまとめる形でできた市場である。そして、ここが柳橋のいちばんの特徴です。
成り立ちから、「柳橋中央市場」という囲われた場所は存在しないということ。
1960年代から市場のビル化が進み、名古屋綜合市場ビル(1960年建設・約30店舗)、中央水産ビル(1965年建設・約90店舗)、マルナカ食品センター(1969年建設・約50店舗)といった別会社が運営する私設のビルが建ち並び、それを取り囲むように小さなビルがいくつも集まって、約4,000坪・約300店舗の一帯を形づくってきました。その総称が「柳橋中央市場」です。
アタクシが通い始めた2013年ごろはマルナカ食品センター・中央水産ビル・名古屋綜合市場が柱で、柳橋食品ビルをはじめとする小さなビルがそれを取り囲む。そういう市場でした。
月日は流れ、中央水産ビルは2019年10月31日に閉鎖。老朽化のためで、約54年の歴史でした。組合加盟49社のうち、柳橋に残ったのは16社。11社が名古屋市中央卸売市場の周辺へ移り、8社は店舗を持たない業態に変わり、14社が廃業しています。跡地は現在はパチンコ屋になっています。
「我がホーム柳橋中央市場は岐路に立たされております」@かどふく本店で新聞を読む。
令和8年現在もどんどんビルが取り壊されており、柳橋中央市場は姿を変え続けています。
この立地と成り立ちのおかげで、柳橋は時間帯ごとに違う顔を見せます。朝はプロが仕入れに走り回る市場。公設市場とは違い一般客も観光客もウエルカムな雰囲気で買い物・食事がとれます。昼は近隣のサラリーマンのランチ戦争会場、夜は駅近・市場直送の繁華街が熱気を帯びます。
ただ、アタクシが13年通ってきたのは、ほぼ朝です。市場が動いている5:00〜10:00に食べられるものだけを「市場めし」と定義し、プロのマネをして食材を手に入れ、仕入れを終えた飲食のプロ達の会話をBGMに朝酒を嗜む。食のプロ達が認めた一品を肴に朝から一杯やれるのが、柳橋中央市場の一番の楽しみ方だと思っているのです。
市場めし|柳橋中央市場の朝ごはんと朝酒
前述のとおり柳橋中央市場は私設のビル群の総称なので、ビルごと・店ごとに営業時間は違います。しかし、一般的にプロが食品を仕入れる時間・市場が開いている時間は、始発から9:00までって所です。
プロたちは仕入れを終え、軽く食事をして、自分の店の仕込みに入っていきます。
だからアタクシは、「市場めし」を10時前に食べられるものと定義しています。市場の喧騒の中、食品のプロ達の雑談に耳を傾けながら、スポーツ新聞をめくり、朝酒を嗜む背徳感。これが市場めしの醍醐味です…。

買い物をするなら朝8時ごろがちょうどいいのかな?早すぎるとプロの仕入れの邪魔になりますし、9時を過ぎると品物が減っていきます。
マルナカ食品センター
1969年(昭和44年)開場。約50店舗が入り、その半数が鮮魚店という、いまの柳橋の中心的なビルです。飲食店も多く、朝昼晩と異なった顔を見せます。以前は社長自らマルナカ食品センターを案内するツアーがあり、観光客に解放された市場を体現していました。
ラーメン大河|朝6時から
朝6時から開いている市場のラーメン屋さん。市場で働く人の朝ごはんです。
カレーうどん大庵|朝6時半から
朝6時半から食べられるカレーうどん。名古屋カレーうどんの新しい風です。
右大臣|市場のだし巻き卵焼き
卵焼きの専門店。焼きたてのだし巻きが買える、市場らしい買い食いの一軒です。近隣の飲食店では、この右大臣の出汁巻きを出すお店も多数あります。
【2013年訪問記】名古屋・柳橋中央市場「右大臣」の絶品だし巻き卵焼き
おにぎりキョージ(旧・おにぎりまさ/おにぎり家)|朝6時から
マルナカ食品センターのおにぎり屋さん。朝6時から、売り切れ次第終了です。名前が変わりましたが、市場の朝を支えている一軒です。
まぐろやさん柳橋(旧・柳橋まぐろや)|朝6時から
マグロの丼が朝6時から食べられます。こちらも改名されています。
やなぎつね|朝8時から
2025年にできた、いなり寿司の専門店です。毎日店内で揚げる「生いなり」が名物。朝8時から夜8時まで年中無休なので、市場が閉まったあとでも買えます。
まるは食堂 柳橋はなれ|朝8時から
知多の「まるは食堂」が柳橋中央市場に出した店です。
名古屋綜合市場
約30店舗が入るビル。市場の営業時間5:00〜10:00を公式に掲げているのがこのビルです。
魚源食堂|柳橋中央市場最古の”めしや”

柳橋中央市場で現存する最古の食堂。炭火焼きの魚、本物の名古屋めしを提供している唯一無二のお店です。
- 魚がない日でも魚市場は面白い!「魚源食堂」で朝酒(2026年8月)
- 「魚源食堂」の中華春雨サラダは名古屋めしか?(2026年7月)
- 炭火の鯖と炊きたてご飯で家族朝ごはん(2026年7月)
- 雨の柳橋中央市場|鰹&十六ささげの朝酒(2026年6月)
N5ビル
名駅4-13-11に建つN5ビル。ここにはかつて、ミニうどんといなりで300円のモーニングを出していたうどんの「にしき」がありました。現在は2階に和nicoが入っています。下記記事参照。
市場でカキフライカレー@食堂かつや(2014年11月)
煮干し中華そば 和nico|名古屋式の朝ラー
市場で朝からラーメンが食べられるお店。煮干しの中華そばで、名古屋式の朝ラーです。日本酒も置いてあるので、ここでも朝酒ができてしまいます。
名駅で朝ラー!煮干し中華そば和nicoで朝酒&名古屋式朝ラー(2026年6月)
市場で名古屋式朝ラー、おまかせ日本酒(2025年4月)
その他
IMARI|朝4時から
市場の中の喫茶店。珈琲とトースト、アイスミルク。買い物の合間のひと息にちょうどいいお店です。
市場でミルクコーヒー、アイスミルク@IMARI(2023年6月)
珈琲@IMARI
DEVAN CAFE:朝9時から
市場内の喫茶店。少し開店時間が遅くなりました。
市場でモーニングセット@DEVAN CAFE
朝の営業を終えた店|当時の市場めしの記録
かつては朝から開いていたのに、いまは昼や夜だけになった店が多数あります。もう同じ時間には行けませんが、アタクシが朝に通っていたころの記録は残しておきます。柳橋中央市場の朝は、こうして少しずつ姿を変えています。
天ぷら小島|朝から昼・夜の顔へ
市場で天ぷらを揚げてくれる店でした。お好み天定食に野菜天定食、お任せ天ぷら5点。右大臣のだし巻き卵焼きを出していたのもこちらです。現在は鉄板ビストロ小島など、他の地域にも多数展開されています。
現在、朝の時間帯は終了しています。市場の昼・夜の顔となっております。
市場でお好み天定食、野菜天定食@小島(2019年11月)
市場でお好み天定食、野菜天定食@小島(2018年7月)
市場でお任せ天ぷら5点、右大臣卵焼き@小島(2017年9月)
市場で天ぷら@小島(2015年7月)
魚介つけ麺うねり|朝から昼へ
以前は朝から開いていた魚介系のラーメン屋さん。現在は11:00〜14:00の昼のみの営業です。朝に食べた当時の記録です。
市場で魚介つけ麺@魚介つけ麺うねり(2022年4月)
わだ泉柳橋店:朝から昼・夜へ
店長さんの接待が光っていたお気に入りのお店だったんですが…
市場でちょい飲みコース@わだ泉柳橋店
鮨と酒 悠久 名駅柳橋店|朝から昼・夜へ
市場で朝から寿司とお酒が楽しめる、贅沢なモーニングセットがありました。モーニング営業は2026年5月をもって終了しています(昼・夜の営業は続いています)。市場めしとして通った半年ぶんの記録です。
朝ハイセットの衝撃!特大アジフライとハイボール2杯(2026年3月)
本鮪のお寿司一貫10円!ピンゾロ(2026年3月)
【朝酒】指南書通りに楽しみたい(2026年2月)
【朝酒】魅せ方も味のうち(2026年1月)
名古屋モーニングの進化系【市場で寿司】(2025年12月)
モーニングの全体像|朝酒と海鮮【現在は終了】
【悲報】モーニング営業終了のお知らせ(2026年5月)
10時を過ぎたら|柳橋の昼と夜
市場としての営業は10時で終わりますが、私設のビル群である柳橋中央市場は、そこから昼と夜の顔に変わります。市場直送の魚を、市場の建物の中で食べられる。名駅という立地に市場があることの意味は、ここにも出ています。
正直に書いておくと、アタクシは昼と夜の柳橋にはほとんど行っていません。「市場めし」を10時前と定義している以上、そこから先はアタクシの担当外という気持ちもあります。
柳橋きたろう:
築地玉寿司が手掛ける本格江戸前寿司が市場の中で食べられます。
市場でお寿司@柳橋きたろう
消えたビルと、消えた店|柳橋中央市場の記録
13年通っていると、お店の入れ替わりもあります。市場の移り変わりそのものが、この市場の歴史です。記録として残しておきます。
柳橋食品ビル(2016年12月31日閉鎖)
名駅四丁目14番に建っていたビル。1階に食堂かつやと喫茶くろちゃんが入っており、アタクシが通い始めたころの朝ごはんは、たいていこのどちらかでした。2016年(平成28年)12月31日をもって閉鎖。年内に向けてテナントの移転・閉店が続き、公式サイトも先に閉じられていました。跡地は現在、駐車場になっています。
閉店の順番は同じではありません。喫茶くろちゃんが先に、2016年6月30日で閉店。「懐かしの“きっちゃてん”がまた一つなくなってしまいました」と書いています。食堂かつやはビル閉鎖と同じ12月31日まで営業。アタクシの最終訪問は12月28日でした。
カウンターに並んだ天種を覗いて今日のメニューを決める、ちろりで出てくる熱燗、メニューにない天丼。「あんまり良く書いて貰うと困っちゃうんだよなぁ」と亭主に言われたのも、この店でした。そもそもこのブログを書き始めたのが、柳橋中央市場の情報がネットに少なかったからです。その原点にあったのが、この柳橋食品ビルでした。
- 最終訪問|ミックスフライ、ポテトサラダ、天丼@食堂かつや(2016年12月28日)
- 閉店を知った日|ミックスフライ、湯豆腐、ラーメン@食堂かつや(2016年12月27日)
- 市場でガーン@くろちゃん(2016年7月/閉店を知る)
- 市場でモーニング@くろちゃん(2013年9月)
中央水産ビル(2019年10月31日閉鎖)
1965年建設の8階建て。約90店舗が並び、名古屋中央市場水産物協同組合を構成していた、まさに柳橋の魚の中心でした。老朽化により2019年10月31日で閉鎖。約54年の歴史に幕を下ろしています。
アタクシが通い始めたころは、このビルとマルナカ食品センター、名古屋綜合市場の三本柱でした。柱が一本抜けた市場は、やはり少し静かになった気がします。
跡地は現在パチンコ店。市場の一角が、まるごと別の街になりました。
このビルに入っていたお店のひとつが、鶏の鳥孫さん。名古屋の白鷺で知られたお店です。閉鎖後は大名古屋食品卸センター(名古屋市中央卸売市場本場の場外)に移り、いまも商売を続けておられます。柳橋から場所は変わっても、続いている店はちゃんとある。
大名古屋食品卸センターの鳥孫さんを訪ねた日(2025年1月)
その他の閉店・移転した店
- めん処にしき— ミニうどんといなりで300円。朝7時から開いていた、起きがけの胃にも財布にも優しいうどんモーニングでした(定休日は日曜)。2014年11月に「申し訳ありませんが当分の間休業させていただきます」の貼り紙が出たまま再開せず、2015年2月末には更地に。火事によるもので、隣のビルの壁には延焼の跡がくっきり残っていました。跡地に建て替えられたビル(N5ビル・名駅4-13-11)には、いま和nicoが入っています。
市場でうどんモーニング@にしき(2013年4月)
更地になった日の記録(2015年3月) - 食堂かつや/くろちゃん— 柳橋食品ビルの閉鎖にともない、2016年に相次いで姿を消しました(くろちゃんは6月30日、かつやは12月31日)。詳しくは上記「柳橋食品ビル」の項へ。食堂かつやの記録/くろちゃんのモーニング
- 尾毛多セコ代— 24時間焼き肉のお店。その後カレーのやぶや柳橋店になり、現在はビルが取り壊されています。
市場で焼き肉@尾毛多セコ代
カレーのやぶや柳橋店 - 名古屋カレー食堂アンツ(閉店)— 市場でモーニング@アンツ
- 元祖まるしば屋(2014年12月31日閉店)— 市場のラーメン屋さん。開場時・閉場時それぞれの顔がありました。ラーメン味玉入り(2014年12月)/中華そば2(2014年10月)/開場時のラーメン(2013年11月)/閉場時のラーメン(2013年10月)/移転前のラーメン(2013年4月)
- 三徳(閉店)— 市場で「きゃぁ〜」@三徳
- 天末食堂— どて丼、どて煮、カサゴフライ。どて丼@天末食堂
福ちゃんーテイクアウト。焼そば@福ちゃん
聖ーカツ丼とコーヒー。市場でカツ丼@聖
きわみーたこ焼き。たこ焼き@きわみ - さらしな— カレーきしめん@さらしな
柳橋中央市場への行き方と、知っておくといいこと
- 場所:名古屋市中村区名駅四丁目15番15号(名古屋綜合市場)。名古屋駅から徒歩5分ほど。
- 市場の営業時間:5:00〜10:00(店舗により異なります)
- 休市日:水曜・日曜・祝日が基本ですが月によって変わります。各市場の休市日カレンダーでご確認ください。
- 一般客もOK:ただし朝一はプロ達の仕入れの時間なので、8時以降がおすすめです。
出典:マルナカ食品センター公式サイト/名古屋綜合市場公式サイト(いずれも2026年9月確認)。市場の沿革および中央水産ビル閉鎖の経緯は、各社公式サイトと当時の報道によります。


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