✅ この記録は2014年12月〜2016年1月の調査です。現在の営業状況は各店にご確認ください。
名古屋に「一八(いっぱち)」という屋号の麺類食堂が、かつて30店近くありました。本店から暖簾分けし、その店からまた暖簾分けする。そうして広がった店同士の集まりが一八のれん会です。
アタクシは2014年12月から2016年1月にかけて、この暖簾を追いかけて回りました。店に入り、きしめんを食べ、女将さんや大将に話を聞き、暖簾とメニューを撮らせてもらった。そのとき集めた電話番号や営業時間、閉店の話を、ここに記録として残します。
10年以上前の情報です。すでに閉じた店もあります。それでも、消えてしまえば誰も書き残さない類の話なので、当時のまま置いておきます。
一八のれん会とは
| 聞いた話 | 誰から |
|---|---|
| 全盛期には30店弱あった | 大須一八(2014年12月) |
| 本店からの暖簾分けは8店。暖簾分け店からの暖簾分けが多い | 桑名一八(2014年12月) |
| のれん会は現在も続いており、毎月18日に本店で会合がある | 桑名一八(2014年12月) |
| 桑名一八が本店最後の暖簾分け(創業昭和45年) | 桑名一八(2014年12月) |
| 一八本店は昭和25年、昭和天皇にきしめんを献上した | 本店での聞き取り |
| 一八本店の登記上の創業は明治23年 | 名古屋LOVE名古屋めし「きしめん-ひら『一八本店』橘・中区」(2022年4月) |
| 新道のめん処一八は昭和元年創業(2025年で創業100年)。ムロアジ節とたまりの「昔ながらの赤い出汁」 | 名古屋LOVE名古屋めし「名古屋の隠れた宝物、再発見のきしめん 〜「新道 一八」〜」(2025年11月) |
屋号は同じでも、出すものは店ごとに違います。きしめん、天南丼、味噌中華、鍋焼きうどん、渦潮きしめん。同じ暖簾でも味も値段も別々というのが、暖簾分けの面白いところです。

訪ねた店の記録(2014〜2016年)
住所・電話番号・営業時間は、いずれも訪問当時(2014〜2016年)に確認したものです。すでに使われていない番号も含まれます。かけ直す前に、現在の情報をお調べください。暖簾とメニューは、それぞれ写真だけのページにしてあります。屋号の書体や品書きの並びは、店が消えると本当に残らないので、そのまま置いてあります。
| 店 | 所在地・電話(当時) | 営業時間と名物(当時) | 記録 |
|---|---|---|---|
| 一八本店 | 名古屋市中区橘1-5-14 052-321-0475 | 11:00〜15:00/17:00〜20:30 定休:月(夜)・火 名物:きしめん、天南丼、鍋焼きうどん(卵抜き) | 2013年11月/2014年12月/2016年3月/天南丼/味噌ラーメン/のれん/メニュー/メニュー2015 |
| 柳橋一八 | 名古屋市中村区名駅5-32-9 052-541-6826 | 11:00〜14:30/定休:日 名物:中華そば、ミニ木の葉丼、きしめん | 2014年9月/2015年1月/のれん/メニュー |
| 大須一八 | 名古屋市中区大須3-1-79 052-241-0625 | 11:00〜14:00(土は13:30) 定休:日・祝 名物:きしめん | 店の記録/のれん/メニュー |
| 昭和橋一八 | 名古屋市中川区昭明町3-50 052-652-0562 | 11:00〜14:00/16:30〜20:00 定休:日 名物:きしめん定食、味噌ラーメン | 店の記録/のれん/メニュー |
| 正木一八 | 名古屋市中区正木1-12-9 052-331-2518 | 11:20〜14:30ごろ 定休:土日祝 名物:きしめん定食/暖簾なし | 2015年1月/四代目一八 正木本店(2025年) |
| 麺処一八 (中京競馬場内) | 豊明市間米町敷田1225 ペガサス1F 052-623-2001 | 開催日・券売日の9:00〜 名物:きしめん/暖簾なし | 店の記録/メニュー |
| 亀城一八 | 名古屋市瑞穂区亀城町2-3 052-881-3648 | 11:00〜14:30/17:00〜19:30 定休:日(第1・3土) 名物:きしめん、味噌煮込み定食/暖簾なし | 店の記録/メニュー |
| 弥冨一八 | 弥富市鯏浦町南前新田35-3 0567-65-2491 | 11:00〜14:30/17:00〜21:00 定休:水(第2火) 名物:きしめん、天南丼、鍋焼きうどん | 店の記録/のれん/メニュー |
| 鍋田一八 | 弥富市稲荷3-47 0567-68-2978 | 11:00〜14:30/17:00〜20:00 定休:火 名物:きしめん | 店の記録/のれん/メニュー |
| 桑名一八 | 三重県桑名市東方298-3 0594-21-4567 | 11:00〜23:30/定休:木 名物:きしめん、チャーハン、鍋焼きうどん/暖簾なし | 店の記録/メニュー |
| 山王一八 | 名古屋市中区西日置2-3(名鉄交通ビル内) 052-321-8600 | 11:00〜14:30/17:30〜21:00 定休:土日祝 名物:きしめん、天南丼、渦潮きしめん/暖簾なし | 店の記録(閉店)/メニュー |
| 手打ちうどん一八 | 一宮市萩原町串作小折 | — | 店の記録/メニュー |
| 釜揚げきしめん一八 | 名古屋市南区加福本通 | — | 店の記録/メニュー |
| めん処一八 | 名古屋市西区新道 | — | 店の記録/天南丼 |
| 北頭一八 (閉店) | 名古屋市南区中割町3-42 052-612-6335 | 2015年1月に電話で閉店を確認 | 外観のみの記録 |
| 尾張旭一八 (閉店) | 尾張旭市東本地ケ原町2-6 0561-54-9766 | 2015年1月に電話が不通。もり山一八様のコメントで閉店を確認 | 看板のみの記録 |
東京にもあった一八
のれん会は東海地方の店ばかりではありませんでした。昭和50年代には、東京の八重洲地下街にも出店していたそうです。場所は令和4年時点でキリンシティがあるあたりと推測されています(名古屋LOVE名古屋めし「きしめん-ひら『一八本店』橘・中区」(2022年4月)より)。アタクシが回った2014年には、すでに「東京八重洲 閉店」と聞かされていました。
そして東京には、もう一軒「一八」の屋号を掲げる立ち食い蕎麦があります。浅草ロックの脇道、台東区浅草2-5-5。2015年5月、大相撲の中日に三社祭を見に行った日、看板を見つけて飛び込みました。
冷やしたぬきそば。きしめんは見当たりません。「以前は八重洲でやっていましたか」と聞いてみると、「昔からこの場所でやっていますよ」とのこと。八重洲店が移ってきたわけではなさそうです。それでも屋号は一八(いっぱち)でした。
▶ 一八@東京都台東区浅草(2015年5月)
暖簾分けの系譜
聞き取りで分かった、店と店のつながりです。
| 店 | 聞いたつながり |
|---|---|
| 桑名一八 | 本店から最後に暖簾分けした店。創業昭和45年 |
| 弥冨一八 | 創業昭和50年 |
| 昭和橋一八 | 円上(春日井)からの暖簾分け |
| 亀城一八 | 正木一八の息子さんが経営。元は金山駅の周辺にあったという話も |
| 山王一八 | 正木一八の奥さんが経営 |
| 鍋田一八 | 五女子 → 鍋田 → 現在地へ移転 |
| 麺処一八(中京競馬場) | 開催時に正木一八が出張。正式には正木一八かもしれない |
| ゲラン一八(旧・春岡一八) | 息子さんが洋食を始めた際に「ゲラン」へ改名(大須・柳橋で確認) |
暖簾に染め抜かれていた屋号
以下の屋号は、本店・柳橋・大須・昭和橋・弥冨の暖簾に染め抜かれていた店名を書き写したものです。暖簾は、のれん会の名簿でもありました。


閉店が確認できた店
訪問時に、ほかの店の方から閉店を教わった店です。アタクシが実際に食べられなかった店ばかりです。
カニエ(本町)/カニエ駅前/ゲラン(旧・春岡)/江南/守山(もり山)/松下/泉楽通/代官(東区代官町10-8)/道徳/氷室/味美/東京八重洲/北頭/尾張旭/山王
屋号だけが伝わっている店
のれん会の一覧に名前はあるものの、アタクシがたどり着けなかった店です。どなたかご存じでしたら、教えてください。
広小路/黒川/沙織/上野/神守/朝倉/堀田/六番町/春日井(旧・円上)
このほか、のれんに名はあるものの確かめられなかった店として大垣があります。当時控えた情報は「058-251-6504/岐阜県岐阜市昭和町1丁目15番地/営業11:00〜19:00/定休:金」。屋号は大垣なのに住所は岐阜市で、そこも確かめられないままです。
閉店した守山(もり山)一八は、名古屋市守山区白沢198。電話は052-794-3518でした(もり山一八様のコメントより)。
その他|一八から分かれたかもしれない店
のれん会の一覧にゲラン一八という屋号があります。もとは春岡一八で、息子さんが洋食を始めた際に「ゲラン」へ改名したと、大須一八と柳橋一八の女将さんから聞きました。
それなら、栄にキッチンゲランという洋食屋があるのを思い出しまして。2015年1月、カレーとカニコロッケをいただきながら、お勘定のときに創業だけ伺いました。創業は昭和28年。カウンターだけの、グレイビーボートでカレーが出てくる店です。
▶ キッチンゲラン(名古屋・中区栄)のカレーとカニコロッケ
ただし、関係があるかどうかは確かめられていません。ゲラン一八の息子さんがここで修行したのか、洋食に絞ってキッチンゲランになったのか、まったくの無縁なのか。手がかりは暖簾にあります。創業昭和50年の弥冨一八の暖簾にはゲラン一八の名がなく、柳橋一八と鍋田一八の暖簾には「ゲラン」の名が入っています。暖簾は染めた時期によって、載っている屋号が違うのです。
のれん会の記録としては、ここまでしか書けません。いつか、もう一度伺って聞いてみたいと思っています。
この記録について
2014年12月から2016年1月にかけて、店を回って聞いた話と、当時公開されていた個人サイト(Nomad、名古屋めし!の現在、jov’s house)、食べログ、愛知県麺類食堂生活衛生同業組合の情報を突き合わせて作りました。参照先の多くは、すでに閉じています。
もり山一八の方からは、当時ブログのコメントで情報をいただきました。ありがとうございました。
また、創業年と八重洲地下街への出店については、名古屋LOVE名古屋めし「きしめん-ひら『一八本店』橘・中区」(2022年4月)および名古屋LOVE名古屋めし「名古屋の隠れた宝物、再発見のきしめん 〜「新道 一八」〜」(2025年11月)を参照しました。本店は現在、常連の色が濃い店になっているとのことです。
あわせて読みたい
▶ 天南丼とは(絶滅危惧メニューNo.1)|一八が出していた丼
▶ 味噌中華とは(絶滅危惧メニューNo.2)
▶ 松月とは(絶滅危惧メニューNo.3)
▶ きしめん定食まとめ|一八の暖簾でも食べられた一膳
更新履歴
2014.12〜2016.1 各店を訪問し、暖簾とメニューを記録
2026.9 聞き取りメモを整理し、店ごとの記録として組み直し


